松本市の松南病院で行われていた「不当な退院制限」 ―あるいは16歳閉鎖病棟体験記
はじめに
見てますかー? 病院関係者の皆さん! 入院患者の皆さん!
今日糾弾したいのは医療法人和心会が運営する松南病院(長野県松本市笹部3丁目)。私立の病院です。
この病院の特徴として長野県中信地方では珍しい児童思春期の専門病棟があり、心の病を抱えた思春期男女が集まってくる。ちなみに児童思春期病棟は閉鎖病棟で、普通の病院とはちょっと違うのです。
前提条件
私はこの病院に4カ月間もの間入院していました!!
というのもカフェインの錠剤の過量服薬で自殺未遂を図り近所の組合立・諏訪中央病院に親によって担ぎ込まれて、
しばらく集中治療室(ICU)でぜーはーしていました。
カフェイン自殺未遂の最先端を行っていたのです。当時16歳。
2014年の2月でした。
その諏訪中央病院には松南病院の院長である宮坂義男医師が週に一回思春期専門医として外来を開いていて、また諏訪中央病院からは松南病院に研修医を派遣していて、たぶん両院にはなんらかのそういう協定があるのだと思います。
精神科病棟のない諏訪中央病院ではちょっと心配ということで研修医の先生による(たぶん指導医の指示で)「松本の宮坂先生にこころの調子も見てもらおうか」と口車に乗せらて……
晴れて松南病院に3日後に転院することになりました。こころの様子の検査とか言うから日帰りかと思ったら入院でしたよちくしょーーーー!!!!
形だけの「入院に際してのお知らせ」
諏訪中央病院ICUから松南病院閉鎖病棟に救急車に乗ってストレッチャーで移動し、パーティーションのないような病室に連れられてきて数十分後。
看護師が紙を持ってきてこれに同意できるならサインをしろという。
紙は2枚。「私は自分の意思で入院します」「閉鎖病棟でも構いません」。書かないといけない空気だったのでサインをしてしまった。
だって16歳ですもの!!! 空気に飲まれることはあるわ!!!
引き換えに渡されたのがこの紙。「あなたの入院は任意入院でありますので、あなたの退院の申し出により退院できます」との記載があり!
よし!!! 3日くらいで退院できるはずだし、できなければこの書面を盾にすればいいのだな!!!
しばらくすると病室に担当医である院長が診察に来た。「人の視線怖いよね?」「何か命令するような声が聞こえる?」――。「別に」「聞こえない」と答えると院長は立ち去った。わずか2分のスピード診察だった。
こうして始まった地獄の生活である。
退院できない
任意の入院なのにお散歩すらできない!!
診察が週に1回!!!てか主治医が院長!!!
外出ってなんですか!!!
外泊 is 何。
処方された薬で乳汁漏出!!!
病院食がまずい(主観)!!!
我慢できない!!!退院してやる!!!
入院っていうか刑務所!!やることがない!!!
宮坂医師にぶつける
「退院させてください」と!!!
そしたらこう返ってきた!!!
「うーん、まだ」
えっ!?
形だけの「任意」
その後も退院したいといったらカルテに「退院したい」と書くだけだったり。
宮坂医師が廊下を通るたびに「退院したい退院したい」と言い続けていたら
宮坂医師「あんまり退院したい退院したい言うようなら、医療保護入院に切り替えるよ?」
脅しだ。
どうぞ切り替えてくださいって感じだ!どうせできないんでしょう!!!
だってうちの両親いちおー医者だから!!!「先生」のいいなりにはならないよ!!!
そのころ両親はどう動いていたか
セカンドオピニオンを受けさせようとすると宮坂医師に「あまり病名にこだわるとお子さん殺しますよ?」と言われたという。
それでも強引にセカンドオピニオンを受けさせ、病院を変えようとしたとき宮坂医師はこう言った。
「このまま退院させると、お子さん死にますよ」
患者の権利とはなんなのか。そんなこと言われたらいくら理屈上できることでもできないじゃないか。
あまり良いとはいえない松南病院の環境
- ナースステーションで診察が行われるため声が筒抜け
- 机の移動や掃除を患者に行わせる
- 携帯電話は一日10分。メール以外禁止。LINEやTwitter、ネットサーフィンはだめ
- 任意入院の患者を保護室(別名静養室、トイレとベットしかない監視カメラ付きの鍵のかかった部屋)に入れていた
- その静養室の様子はナースステーションのテレビに映っていて、病棟の他の患者も目を凝らせば見える
- 週1の診察は3分もかからない
- 南条あやは病棟に持ち込めない
- 太宰治もダメ
- 異性と30分以上話していると離される(あんなところ雑談するくらいしかやることねーよ)
- シャワー室は屋上(野外)の小屋に3つ
インフォームド・コンセント
宮坂医師は統合失調症という診断名を付けたがる。病名だけでなく抗精神病薬も処方する。
私は特に具合が悪いわけでもないのに、薬剤名も告げられずに筋肉注射を打たれたこともある。病室の人とモンハンの話で盛り上がっていただけなのだが。
社会復帰第一で、患者に「学校に行ったら退院ね」とか言う医師である。
もちろんみなさん任意入院で、退院かどうかは患者側も決められるはずなのだが実際のところその権利は患者にはない。
長期入院
6カ月以上入院している長期入院の患者がほとんどだった。それが、任意入院。
どうしてこんなことになっているのか。それはこの病院が居住施設と化していたからだ。
だって、この病院から学校に通っている人たくさんいたもん。
あたまおかしい。急性期を過ぎたら退院させるべきでしょう。
私はどうやって退院したのか
入院から3カ月後くらいから「一人外出」「外泊」ができるようになり(許可制)、4カ月目の「一人外出」でそのまま駅まで歩いて電車乗って帰りました。
今もまだこの病院には不本意な入院をしている人がたくさんいるのでしょう。